トークリレーで語るSAKUHO 1/4

シュタインベルグにします!

川崎薫


昨年の今頃、長野県佐久穂町でネガコスティカのレコーディングをするという話を聞いて、佐久穂ってどこだっけと思い地図を調べてみると、いくつか見覚えのある地名があるではないか。「小海線羽黒下駅」ここから輪行(本来は自転車で旅をすることだが転じて自転車を分解して鉄道などで運ぶこと)して帰ってきたことがあるな。あのとき(おそらく1995年)は西武秩父から小鹿野を通り八丁峠を越えて恐竜の足跡化石のある神流川沿いに下り、神流村(現藤岡市)から上野村を通って十国峠を越えて佐久穂へ下ったのだった。峠を越えるとき、道路工事をしている人にえらく驚かれた(本当に声を出してとびあがっていた。自動車だとエンジン音で接近がわかるけれど、自転車はほとんど音がしないからね。)のをおぼえている。海瀬駅から輪行する予定だったが列車の時刻まで余裕があったのでとなりの羽黒下まで行ったのだった。
そんなことを考えながら、パーカッション担当の高橋さんの車に便乗させてもらい、小海線の下をくぐり十石峠へ向かう道からそれて、メリアホールに着く。今回の一発録音にはこのホールにしかないシュタインベルクのグランドピアノを使う。(ちなみにメリアホールにはシュタインベルクのアップライトピアノもある。)ホールにはヤマハのグランドピアノもあり、もしものときはそちらにエスケープすることも可能というわけだった。さて、そのシュタインベルク。ストロークが非常に短い。鍵盤を押したときの沈み込みが浅いのだ。どうしたものかと悩む。1日半の時間の中でこのピアノになじめるのか?ただでさえリスクの大きい一発録音なのだ。しかもマルチトラックではない2チャンネル録りだから、ミスをした場合はそこだけ差し替え(通常のスタジオレコーディング作品は無数の取り直しの良いところを寄せ集めてできている。そのうえさらにエンジニアたちのさまざまな「魔法」ともいえる修正がかけられて成立している。)とはいかず他のメンバーにも多大な迷惑をかけることになる。ヤマハにするのが大人の選択だよなあ。「シュタインベルクにします!」あー、またやっちまったよ、俺。
そこから始まる悪戦苦闘。その結果はお聞きいただくしかない。自分としては実に1993年以来のレコーディング。あのときも、今回も、一緒に戦ってくれた仲間たちに深く感謝。

(文・川崎薫)
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アラカン男の集大成ですから。

坂野誠治


先ずは宣伝から。
新型コロナでライブ活動も中々ままならぬ中、明日17日は夕方18時からなんとNegAcoustika DuoとしてKOWと川崎が配信ライブを行います。よろしくおねがいします。
https://www.youtube.com/watch?v=mHzAXTUxZIc
レコーディングの苦労とこだわりを語ってくれると思います。
何しろ悩んだ挙句の一発録音。歌は後で入れるにしても、演奏のミスもあるが、各楽器のバランスなど不安いっぱいの録音の旅。
レコーディング当日は渋滞から始まった。2019年8月末の週末、車3台に分乗し、バラバラに早朝、東京から佐久穂町に向かった。とお決まりで、関越は2カ所事故渋滞!ドタバタと下の道を使ったり、機転を利かせて、なんとか昼過ぎに無事全員到着。
初日はマイクなどセッティングに時間をかけるも、短めの3曲を各々通しで各々3テイクぐらいで終わる。どうやって録れているかも確認すると悪くない。演奏もいい感じ。
皆、安堵。ここまで、1ヶ月くらい、歌なしリハを重ねた成果だ。
明日は難曲大作2曲残っているが1日あるしと、大浴場温泉に寄って、宿で食べる夕飯と酒を買って宿に。
問題はここから。
2日目はセッティングそのままだけど、なぜか音とか鳴りが悪い。昨晩の酒が原因か?と悩みつつも、蒸し暑いことに気づく。確認すると、会場のエアコンが入っていないことに気づく!エアコン入れてもらって、ピアノの音が全然違う!状況改善するも、腹が減っては戦ができぬと近くのジモピーの美味い蕎麦屋に出かけてみんなで蕎麦を食べている写真がコレ。帰ってからの最大の難曲が冷や汗が出るぐらい大変だった。今思い出しても冷や汗が。
作品について、出来上がったCDを聴いてまず思うのは、本当に上手くいった、自信作です。ホールのナチュラルなエコーなど、そして、最後のマスタリングでかなり細かく調整していただいて楽器の分離も良くなった。歌の方もうまくいった。特に最後のNo more rainy dayがマグマのようで、祝祭的で、すごくいいです!
ジャケットは佐久穂町の有名な縄文時代中期の北沢川の大石棒!
北沢川の大石棒
今から四千数百年前(縄文時代中期)
眼前に広がる南台地に生活していた人々が、
動植物の豊穣と人間の甦りを願っての信仰のシンボルとして、
豊かに湧きあがる泉のほとりに建立したものと思われる。
五穀豊穣を願った男性のシンボルを模したと言われるものです。
アラカン男の集大成ですから。(高橋さんごめん)
それに擬えて、私やKowの生まれ年フランスボルドーの20世紀最大の当たり年1961年のCheval blancのボトルと我が愛器ととも。

(文・坂野誠治)

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