インスピレーション
昨夜は宿泊先が祇園。
あてもなく散歩するにはぴったりだ。
八坂神社を詣り、裏側の鳥居を抜けると、
一枚の電飾看板に行き当たる。
そこには手書きのような文字で
キメラとあった。
キメラときいてピンとくる方は、
専門家かよほどの好き者かもしれない。
キメラとはふたつ以上の染色体を
もつ状態を示し、
あるいはそれを有する生体を指す。
ハチのカラダにライオンのアタマ。
これはもちろんまだ実在しない。
ただしキメラ技術が進化すると、
あるいは可能になるかもしれない。
こちらはシャチの頭に、ペンギンの身体。
不自然にかわいいなあ…
ただし自然にキメラの生体を持って
生まれてくる人は実在する。
二卵性の双子のうち1人のほうが、
細胞分裂の初期段階で
もう1人を取り込んでしまうことにより
キメラ体になるのだとか、
そうしたキメラ体の人は外見は普通でも、
身体のどこかに、もう1人の遺伝子による
特色を有するそうだ。
この有名な怪物グリフォンは
キマイラの一種。
鷲の上半身と獅子の下半身をもつ
想像上の生物だ。
一方、キマイラの語源となった
ギリシャ神話の怪物は、
獅子の頭に、山羊の身体、
毒蛇の尾っぽから成る。
フランス語ではシメール、そして
英語ではキメラと発音する。
この「異なる生物が混じりあう怪物一族」は
キリスト教社会では「淫欲」「悪魔」の
象徴とされた。
夜の祇園はキメラを想いながら
逍遥するに相応しい。
京都は都会なのに闇がある。
灯の仄かな色合いは、
盲いたかのような闇の濃さを際立たせる。
バンド・キアトにおける
僕のコンセプトはキメラもといキマイラ。
バンドの音楽が
メンバー全員の嵌合体として、
組みたてられ奏でることに強い関心がある。
それは予定調和ではないことを意味し、
未知の怪物を解き放つことに繋がる。
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