僕とブラジル音楽

僕がブラジル音楽に夢中になり始めたのは20代の中頃。10代の頃はロックに夢中で、ちょうど20歳の時にロンドンに1年間住んで、片っ端からライブを見て確認したことはイギリスのロックミュージシャンの大半は、アルバムが良くてライブはアルバム以下と言う現実だった。ああ、がっかり!(The EnidとPeter Hammillは例外!)
帰国して20代の中頃にジャパンエイドと言う大きなコンサートがあり、ピーター・ガブリエル目当てで行ってみたものの、帰ってくる頃にはユッスー・ン・ドゥールの大ファンになっていた、と言うことがあり、ライブで実力のある人しか、本物とは言えないと言う確信が僕の中でメキメキ育っていった。その頃はまだブラジル音楽ライブ前夜。20代の後半になるとワールドミュージックムーブメントが盛り上がってきて、欧米以外の様々なミュージシャンが来日するようになった。そこで僕は片っ端からアフリカ系、アジア系、そしてブラジル系のライブに足を運ぶようになった。

ブラジル関係ライブはこんなレパートリーを思い出す…1987年エリゼッチ・カルドーゾにはじまり、1988年ミルトン・ナシメント初来日、1990年ギレルミ・ジ・ブリート初来日。そしてカエターノ初来日。その後、年代不詳でガル・コスタ、フンドジキンタル、ジョアン・ボスコ、レニーニ・スザーノ、ジャヴァン、ジョイス、イヴァン・リンス、トニーニョ・オルタ、バーデン・パウエル、ジョルジョ・ベンシオール、カルロス・リラ、ウアクチ…もちろんジョアン・ジルベルトなどなど。ブラジルと名がつくライブは、時間と予算の都合さえつけば、とにかく行った。複数回の公演に行くこともざらにあった…それぐらい素晴らしかった。テクニックもパッションもそして音楽から発する全体の雰囲気も抜群で、会場から出るときには完全に幸せになっていた。なんと豊かなんだろう。なんと饒舌なんだろう。終わってから飲みに行った。すると酒がうまい。心から感情が溢れているから、それを肴についつい飲んでしまう。
また、日本に住んで活動するブラジル音楽家としてゼ・ピニェイロがいた。彼の音楽は僕の日常だった。当たり前に存在して、僕の日々を音楽の光で照らしてくれた。良き友人だった彼から、ブラジル音楽ブラジル文化についていろいろなことを直接学んだ。

その頃、ほんの1部を除いて、僕にとっては欧米のロックは完全に過去の音楽になってしまった。もう聞く必要は無い。あれほどたくさん聞いたアルバムも自分にとっては不要。なのでほとんど中古レコード屋に売り払った。その頃、時代はすっかり産業ロックになっており、そちらにもほとんど関心が持てなくなっていた。自分でもなんでこんなに極端なんだろうと思うが、やはりライブで良い音楽に直接触れるとそれが1番なんだなぁと言うことになってしまう。これが本音だ。
自分が音楽をやる上で重要なことがある。それは自分がブラジル音楽を真似たり、カバーをする気がまったくないと言うこと。そういったことに僕は興味がない。だってそれは本家の劣化コピーにしかならないと思うから。それは他の音楽についても言える、本家の劣化コピーだけはやりたくない!もし本気でカバーをするなら、本家を超えるくらいのつもりでなきゃ意味がない。人に聞かせるならね。もちろん楽しみとして演奏することはいいが…と、今までそのように考えてきた。

最近少し考えがやわらかくなった。もし演ってみたければ、少しだけなら演ってみてもいいんじゃない?って感じに(笑)
人の曲を演奏することにはその音楽を作ったミュージシャンを敬うという意味がある。そして自分の演奏を通じて、その音楽を広め残していくと言う意味がある。何より共有することに大きな意味がある。だからこそ適当にはやりたくない。

1月7日のソロライブでは、ブラジルの曲も数曲歌ってみようと思う。ポルトガル語がしゃべれるわけではないけど。

少しならいいよね?

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