音楽と歌の物語❶
音楽とは何だろう?
そして一体どこからやってくるのだろう?
そんなことを問うてみたところで
答えが得られるとは思えないし、
誰かが納得できる答えを
出してくれるはずもない。
それでも、時々考えてしまう。
そこでこのように仮定してみる…
音楽とは風なのだ。
ではその風はいつから吹いているのか。
野口晴哉はこう詠んでいる
「今日の風も太古から吹いていた風だ」と。
すると音楽も古の時代から
鳴り続けていることになる。
人が風の音に旋律を聴いたとき、
「音楽」が生まれたのだ。
遥かなる昔から人間は音楽を聴いている。
その音楽は森のあらゆる場所で
平原の遥か彼方からも聞こえてきた。
水の流れる場所にならどこにでもあった。
楽器のない時代、自分の周辺が全て音楽。
声でそれを真似てみるうちに
あるとき「歌」が生まれた。
…そうやって
今、僕らが音楽と呼んでいるものの
アーキタイプが形作られていった。
自然界におけるあらゆる音を
音楽として受け止める感受性が
人間の無意識領域に蓄積され、
遺伝子を通じて高次継承されてゆく。
風の音が音楽が聞こえた時から
どのくらいの日々が過ぎたのだろう。
「自然物を叩いて音を出す」
そんな行為をする者が現れた。
「打楽器」がその誕生を宣言した。
また、風が岩や草の間を吹きぬける音を、
真似ることに成功した時
「笛」が生まれた。
音楽という恵みの素は、地球の自然。
しかし人間はそこに何か別のものを聞いた。
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