小俣慎一と言う相棒
今夜は少し小俣慎一のことを話したい。
彼は僕と違ってとても寡黙で、
自分から自分のことを
いろいろしゃべるような人ではないし、
何か訊かれて、はいとか、いいえとか
返事をしても、それ以上説明をすると
言うことがあまりない。
つまりやっぱり寡黙なのだ。
しかし演奏となると正反対。
実に饒舌である。
なめらかに多彩なフレーズを弾きこなす。
しかもこれ見よがしなところがない。
アコーディオニストの中には、
たまにテクニックをひけらかすような
演奏をする人がいる。
それはそれで良いのだが、
小俣慎一にはそういうところがまるでない。
彼にあるのは卓越したメロディーセンス。
過日こんなことがあった。
ファーカンダの楽曲で
僕が作詞作曲した『オトコ』という曲の
アコーディオンアレンジを
彼にお願いした。
ところがいつまでたっても何の連絡もない。
かなり時間が経ってしまったので
僕の方から「どうしたんだ」と訊いてみた。
すると「あとちょっと」と言う回答が。
きっと忙しかったんだろうと納得したが、
やはりその後もなかなか音沙汰がない。
そこでもう一度「どうなったの」と
訊いてみたら、数日経って
アコーディオンアレンジが送られてきた。
それをDAWに貼り付けて聞いてびっくり!
2つの音色のアコーディオンを使い分けて、
実にすばらしいメロディーが踊っている。
まさに天才的!
そこで彼にそのことを告げたところ、
意外な返事が返ってきた。
「七転八倒の苦しみだった」と。
彼はのんびりやっていたわけではなかった。
ずっと考えいろんなメロディーを試し
音の重ね方を試行錯誤していたそうだ。
思うように作業がはかどらない日々…
その苦しみの果てにようやく視界が開けて、
最後のアレンジに到達した。
要するにそういうことを口にしないのだ。
すぐにあっちが痛いこっちが痒いと、
不平を漏らす僕のような人間とは
出来が違う。
『オトコ』の音源における
アコーディオンアレンジとプレイ。
僕はそれを聞いて思った。
小俣慎一と音楽をやれて、
本当によかった、と。
彼の才能はひとつの本物である。
誰かの真似ではなく
彼自身から出てきた音楽。
それが彼の作るメロディだ。
僕はバック演奏と言う考え方が
基本的に好きではない。
歌がメインで演奏はそれを支えるもの
と言う考えは僕にはない。
歌のメロディと、
調和したり拮抗するもう一つのメロディ。
人と音楽を奏でる時の
僕にとっての絶対条件。
それが普通にできる小俣慎一。
今日、小俣さんに聞いてみたら
ファーカンダは2013年に始まったそうだ。
僕らももう少しブレイクしたいな。
これだけ良い音楽やってるんだから、
もっと広く聞いてもらってもいいと思う。
来年はそんなことを少し実現できるといい。
1st.アルバムをリリースするんだし…
あ、そうだ、小俣慎一の若き日のソロ作品
『僕、猫、プラタナス』が
イギリスのレーベルから
LPレコードとしてリリースされるってのも
あるね、これ大事。
よろしく頼むぜ、相棒❣️
2022年は小俣慎一の年になりそうだ。
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