仕込まナイト
これは名古屋栄のバスターミナルの屋上。
巨大な水盤になっており、
階下が透けて見える。
4日間のホテル住まい。
朝夕は名古屋の街を歩き、
目からその充実ぶりを楽しむ。
名古屋の友人たちは
「東京、大阪に比べれば、
見るもの、連れていける場所がない街」と
言うが、まったく同意できない。
なぜなら東京にも、大阪にもないものが、
名古屋にはあるから.
景観、見所、食文化…凄い街だ。
名古屋ジモティはもっと
自分の街の魅力に気づくべき。
早朝と、仕事を終えて夜半までの
ホテルでの時間が自由に使えた。
いつもギターを持ち歩いているけど、
仕事上、ほとんど弾けない場合もある。
今回は夜はなにもなかった。
ピーター・ハミルと
ヴァンダーグラフ・ジェネレーターを
とりまぜて4曲。
2週間後の大阪ライブに向けて、
コツコツと…まさに毎晩コツコツと…
仕込まナイト。
ピーター・ハミルの楽曲を覚えるのは
まずは歌詞がたいへん!
哲学的な詩人と評される
ハミル師の歌詞は読み込んでいくほどに、
その言語表現の精緻さに驚かされる。
自己と、世界の
ファンタジーとリアルを切り分け、
「今を生きること」に集約する
歌詞の語るストーリーは
成長する植物のコマ撮りのように、
その姿を微妙に多彩に変えてゆく。
だから、ちょっとした言葉の違いさえ、
重大な間違いになってしまう。
つくづく厄介、それを4曲も!
ヴァンダーグラフ・ジェネレーターの曲は
そこに演奏するうえでの複雑さが加わる。
こいつをまずソロとしてできるように
なることが最初の課題。
音楽表現はその先にある、やれやれ。
あらためて自分が
引き受けてしまったことの重大さに
気づかされている。
でも垂井利之さんとデュオをするのだから、
僕はちゃんとやりたいのである。
垂井利之さんはソロで音を出した瞬間から、
聴く人を魅了するギタリスト。
トーンの魔術師なのかもしれない。
しれない、と言うのは、
まだ僕が知る垂井さんのプレイは、
そのほんの一部でしかないから。
それにしても垂井さんのギターから迸る
「輝ける恍惚感」のようなものを、
聴けることは他ではほとんどない。
それは今まで聴いたロックのなかで、
ギターが鳴り響いたその瞬間、
周囲の空気をすべて変えるチカラを持つ
「狂ったダイヤモンド」での
デイブ・ギルモアのプレイに通じている、
と思う。
そして垂井さんは今回、
ギルモアではなく
ロバート・フリップになるのだ。
ロバート・フリップが
多彩なトーンを持つギタリストであることに
異議を申し立てる人はいないはず。
初期においてジャジーなクリーントーンと、
レスポールのFPのトーン高域をカットした
独特なロングトーンを使い分けて、
はやくも唯一無比の存在を確立。
その後はフリッパートロニクス、
ディシプリン以降のミニマルシークエンス、ギターワークショップなど、
様々な奏法・方法論でギター分野を
先駆的な手法で改革してきた。
フリップにも詳しい垂井さんは、
今回、比較的若い頃のフリップの奏法で、
攻めてくるのではないか、と睨んでいる。
70年代初頭、フリップは
ヴァンダーグラフの2作品と、
ハミル・ソロの1作品に参加。
特にソロのフールズ・メイトでは、
のびのびとしたプレイで弾きまくっており、
とても魅力的な仕上がりになっている。
このFool's Mateを
僕らユニットディオの名前とした。
あ、もう開催まで2週間を切っている!
こんなことをしている場合ではないね。
今夜も仕込まナイト…
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