山尾三省生誕80周年ポエトリーリーディング
山尾三省は屋久島の詩人として知られる、
神田生まれの下町っ子。
「僕」を一人称に用いていた、と
彼の若かりし日を知る
写真家の渡辺眸さんは証言し、
それがなんとも似合っていた、という。
僕も一度お会いしたことがあるが、
なんというか気さくで柔らかな雰囲気と、
自然体の気品を内から漂わせていた。
60年代後半、三省さんは大学を中退し、
自然回帰的な生き方を模索する
コミューン運動に身を投じた。
その後、創立メンバーとして
西荻窪のほびっと村立ち上げにかかわり、
ほどなくして詩人として生きる決意をし、
屋久島に移住し、終の住処とした。
宮之浦岳を遥拝し、沢山の雨に打たれ、
縄文杉と会話しながら詩作を続けた。
屋久島こそが三省さんが求めた理想郷、
ひとつの浄土といえるのかもしれない。
三省さんの詩の特色のひとつは、
リーディングするとわかると思う。
ある瞬間から音楽的に響きはじめるのだ。
一行一行は素朴な言葉であっても、
読み重ねるうちに、
感情の見えざる膜に働きかける。
それは浄土へのマントラ。
風が吹き、揺れはじめ、膜は消えていく。
ことさら情緒的な色付けがないからだろう、
その響きは深いところから辺りを震わす。
詩は本来、声に出して詠まれるもの。
古代からの詩の原点に立ち返れることは、
山尾三省の魅力の
ひとつではないだろうか?
さて、今年度は山尾三省生誕80周年だ。
長らく続けてきたCafe SANSEI=三省ポエトリーリーディングライブだけど、なぜか開催の声がどこからも聞こえず、これでは寂しくなっちゃうなあ、と思い、僕から開催の最初の一声を上げさせていただいた。
地湧社の増田圭一郎さん、気功家の鳥飼美和子さん、ナワ・プラサード書店の高橋ゆりこさんがこれに応じてくださって、今回の開催の運びとなった。
当日は、このフライヤーにクレジットされた4人の楽師が紡ぐ即興演奏、さながら音の綴れ織りに乗っかって、参加者なら誰でも自由に山尾三省の詩のリーディングができる。
もし、山尾三省の詩集をお持ちなら、お気に入りの一編を詠むもよし、そうでなければ、会場に置いてある詩集のページをめくってその詩を詠むもよし。三省さんの世界を知る人も、初めての人も楽しんでいただけると思う。
ご予約はフライヤーにある「プラサード書店に電話、またはメール」にて、どうぞ。
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