8 1/2サラギーナのルンバ。ニーノ・ロータに想いよせて。

たまには映画音楽のハナシを。

はじめてフェリーニの8 1/2を観たときに、
強烈に焼き付けられてしまったシーンが
3つあった。

そのひとつはなんといってもコレ。
浜辺に一人で暮らす怪女サラギーナと
子ども時代の主人公がルンバを踊るシーン。
悪ガキどもがはしゃいで、
主人公だけが先生に捕まってしまう。
なんとも全体に滑稽で笑えるのだが、
この後、厳しいお仕置きが待っている。

残りの2つはまた今度…

この人を小馬鹿にしたようなルンバは、
映画音楽の巨匠ニーノ・ロータが手掛けた。
軽快にして珍妙、なのにどこか仄暗い。
そこが本場のルンバにはない、
まさにキメラ的な魅力である。
なり損ないとも言える。
本気の「なり損ない」には新しさがある。

数多くのフェリーニ作品での
ニーノ・ロータ音楽は普通の映画音楽とは、
一味も二味もちがう。

挙げればいろいろあるけど、
特に「カサノバ」は傑作だと思う。
機械仕掛けのような描写がユニークだ。
この「ローマ」もたいへんよい。
随所にモダンな展開を用意しながらも、
古代的、民族的な印象を与えるのは
その旋法とアレンジの妙味。
チャイコフスキーや
ロシア国民楽派に通じるものが。
ニーノ・ロータといえば、
一般的には「太陽がいっぱい」や
「ゴッドファーザー」が有名。
そのような美メロを書く一方で、
フェリーニという稀代の大妄想監督の世界に
ガチに寄り添って作られた、
不思議に奇妙な作品たちのほうに
グッと僕は惹かれつづけている。

さて、最初にあげた
サラギーナのルンバをライブで演奏している
グループの動画を見つけた。

これ、ホントにご機嫌!
11人のヒッピーたち、
という音楽グループのようだが、
なんと楽しいことだろう。

もうこうなると映画音楽を超えて、
ライブの、生きている今の音楽だ。
どこかロマの音楽などに通じるものがある。
共感を寄せているにちがいない。

天国で、フェリーニもロータも
サラギーナも喜んでいるにちがいない。

KOW's Music Site

私の名前はKOW。このサイト、そしてブログではKOWが携わる音楽へご案内します。作品、音源、動画、ライブスケジュールなどなど、KOWの音楽活動はこちらでどうぞ。 🔹ソロ 🔹キアトKIAT 🔹ファーカンダ 🔹NegAcoustika

0コメント

  • 1000 / 1000