㊗️絶体絶命、全制作完了

タイトルの通り、
やっと全てが終わったよ。
7ヶ月間、没頭できたことは
とても幸運だったなあ…
昨年、2021年12月16日、
僕のスタジオに鎌田東二さんがやってきて、
このアルバムの各曲のイメージについて
色々と語り合う。
ああしようこうしようと言う話し合いが
面白いと、これは良いものになると
期待の風船が膨らんでくる…ぷうっと。
当たり前の事だけど、
鎌田さんとこういう話をして
つまらないわけがない。
そりゃそうだ、
だって驚異的な読書量と、
独自の世界観を持つ宗教哲学者なんだから。
こんな人は他にはいないんだ。
なんてったってふんどしを神様に
しちゃうような人なんだから。
翌日17日は早速ヴォーカル録りを。
鎌田さん、いい感じだ!
僕のお気に入りで
一番最初にアレンジができた2曲
「探すために生きてきた」と
「かんながらたまちはえませ」を収録。
結局この初日テイクが決定版となる。

この後に続くすべてのヴォーカル録音作業で
1番スムーズな1日。
新春を迎えてからは、
僕がアレンジとプログラミングをしては、
鎌田さんがやってきて歌録りを、
と言う流れを2曲〜3曲/月1ペースで
やったんだ。
ヴォーカルについては徹底指導、と言うより
徹底演出!
うまく歌うとか、自分が下手だとか、
人はそういうことに気を取られがちだけど、
歌がいきなり上手くなる事はない。
なので現場ではその歌を表現をするために、
どんな演出やレコーディングプロセスが
1番ふさわしいか?と言うハナシになる。

そんな現場での、
鎌田さんの対応力は極めて高い!
イメージ喚起力の為せる技か?

そして出来上がったトラックを
ドラムの高橋克典さんと
ベースの満島栄二郎さんに送る。
しばらくすると高橋さんから
ドラムのテイクが上がってくる。
す、素晴らしすぎる!
アレンジで描いたドラマが
彼のドラムによってさらに豊かなものに。
これが確定すると
今度は満島さんのテイクが
上がってくる。
アレンジが書いたフレーズを基本に、
よりダイナミックに、よりグルーヴィに
サウンドが動き出すんだ!
この頃はもう毎度毎度ワクワクして
僕は眠れないほど楽しかった。
河野智聖さんの琵琶、
ふるかわはじめさんの打楽器、
その他、様々なサウンドが付加され、
音の彩りがぐんぐん豊かになっていく。

1日中パソコンの前に座ったまま、
音楽制作用のソフトを動かす日々。
頭の中は健康で体のほうは運動不足。
何とかしにゃ、あかんよなー。
4月にはすべてのヴォーカル録音が終わり、
それに続いてドラムとベースのテイクが
全曲確定するここで
作業はミックスに集中できるはずなのだが、
鎌田さんが僕に「詩の朗読にも曲をつけて欲しい」とやっかいなことを言うので、
「やれやれまだやらなくてはあかんのか」
と腹をくくって作曲に取り組むこと1週間。
5月にはミックスダウンもなんとか終わり、
いよいよ最終段階のマスタリングへ。
それにしても5月は別件の仕事も2つ重なり
地獄のような忙しさ。
自分でもよく切り抜けたね、と思う。
よう頑張ったね!

アルバムのアレンジは全曲僕だけど、
1曲だけ川崎薫さんにお願いした。
3曲目「南十字星」。
川崎さんがシンセサイザーのアレンジャー
機能を使ってアレンジすると言う。
僕には考えられないやり方なので、
興味深くこのプロセスを体験してみる。
片山トミオさんが極上のピアノ音源を
提供してくれた。
音がいいとサウンドの品格が上がる。
川崎さんはリアルシンセで
ベンダーを使い倒す!
僕はコーラスラインを付け加え、
自分の声で鎌田さんの歌に寄り添う。

渋い出来栄えの1曲になった。
特筆すべきこと、
それは細野晴臣さんの参加である。
今回収録曲の1曲に「銀河鉄道の夜」と
言う曲があり、そのベースとコーラスを
どうしても細野さんにお願いしたかった。
僕は80年代のアニメ銀河鉄道の夜の
細野さんのサントラにぞっこんなのだ。
鎌田さんと細野さんに
親交があることを知っていた僕は、
この制作初期の段階から鎌田さん、
細野さんがいなくちゃだめだよ、と
涙ながらに訴えていた。
鎌田さんがそんな僕の願いを受け止めて
よしそれではお願いしてみよう、と
4月のある日、あろうことか僕のスマホから
細野さんに電話をした。
電話の向こうから聞き覚えのある
重低音ヴォイスが聞こえてきた。
「うん分りました、やりますよ」と。

ガッツポーズをしたのは言うまでもない。
5月の中頃前、僕のメアドに
細野さんのベースとコーラスの
オーディオファイルが届く。
ファイルを開くのはなんだか
とてもドキドキ。
そして楽曲に貼り付けて、
ため息をつく…素晴らしすぎる。

ああ、ほんとに僕の夢がひとつ叶ったよ。
1番最後に録音したのはフルートだった。
録音機材を持って田中淳ちゃんの
住む埼玉県小川町に出張した。
忙中にあってとてもくつろいだ
レコーディングになった。

ジュン、ありがとう、リアルは違うね!

このアルバムは12曲目「銀河鉄道の夜」と
13曲目「巡礼」でフィナーレを迎える。
そのどちらの曲にもアコーディオンが
入っている。
ファーカンダの小俣慎一さん。
僕はもう彼の音なら絶対に大丈夫!
と言う確信を持っている。
振り返ってみれば半年以上が過ぎていた。
自分にとってもこんなに短い半年は
かつて経験がなかったな。
まさに浦島太郎状態。

玉手箱は開いた。
潮騒の街・茅ヶ崎のマスタリングスタジオ、
Laao365に完成したトラックを送る。
全部で13トラック、71分以上。
これはどう見ても大作だ。
Labo365の板谷さんには、
もう20年以上もお世話になりっぱなし。
その心から理解し合えるエンジニアに、
2回、ファイナルを作らせてしまった。

今回もお手数おかけしました^^;
そしていろいろ成り行きがあって、
あろうことか
ジャケットデザイン&レイアウトまで
手がけることになった。
ここまで忙しいのに、
自らもっと忙しくするなんて
アタマおかしいね、と周囲には言われたが、
ここまで心血を注いだ作品が、
その中身に見合わない外見になることだけは
どうしても避けたい。
まあ、仕方ない、と諦めて、
粛々と作った。

鎌田さんと2人、
京都ロケを2日間敢行した成果がこれだ。

結構いいじゃないか、と自画自賛。
16ページの豪華ブックレットのデザインも
やった。ふぅー、

脳の力仕事。

ちなみにブックレットの中ほどには
巨石写真家・須田郡司さんから、
CD盤面には金沢の林業家・松岡直樹さんから
それぞれ写真をご提供いただいた。

この世界観にぴったりだと思う。
そろそろまとめに入ろうか。

何人かの友人に聞いてもらったが結構好評。
自分の音楽をカタチにする場合との
最も大きな違いは、
終始、客観性を保てると言うことと、
アレンジとプロデュースに徹することが
できたことかな。
制作作業においてはアレンジャーの立場で
自分の音楽引き出しの、
普段活用していない部分を
フルに使った。
僕は10代から20代中頃まで
ロックばかり聞いていたので
その頃に吸収した形式や部品を
沢山投入できた。
グラムロック、プログレ、ニューウェイブ、
オルタナなどなど。
そしてオーケストラ音源を導入し、
クラシック音楽的フレーバーを
あちらこちらに散りばめた。
その結果、これまであまり見られなかった
自分自身の音楽性が滲みだした。
聞いてくれた人によっては
キアトに通じると言うし、
これはプログレだと言う人もいる。
70年代ロック的という指摘があれば、
新世代の音楽だと激賞してくれる声も。

鎌田東二さんと言う
稀有なシンガーソングライターだからこそ
この背景世界に耐えられることは
間違いないと、
僕としてはこれだけは言える。

2022年、6月17日、
マスタリングDDP完成。
ジャスト7ヶ月に及んだ
絶体絶命まみれの月日が終わる。

僕の2022前半は終わった。
さあ、後半にまいろうぞ。

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