河野智聖さんと薩摩琵琶と日本人力

この日をとても楽しみにしてきた。
うちのスタジオに
河野智聖さんと薩摩琵琶がやってきて、
音録りをするのである。

きっかけは河野さんの娘さんが、
大学演劇コースの公演で出演された芝居
「常陸坊海尊」を観劇した折に、
薩摩琵琶の音色を耳にし、
その響きに心打たれたからだった。
薩摩琵琶はとても美しい楽器。
たおやかなカタチで女性的と言われるが、
僕には神秘的に感じられてならない。
そしてあの枯れた音。
音そのものが空間を引き連れて響く。
余韻が消えて風景を残す。

河野智聖さんは武術家・整体研究家として
幅広く活躍されている高名な方。
その一方で大変な音楽好きから、
自分自身で作詞作曲をされたり、
鶴田錦糸系譜の演奏家に師事しながら、
薩摩琵琶の演奏技術を習得されている。
芝居「常陸坊海尊」での琵琶指導も
手がけられた。
河野さんは鎌田東二さんの神道ソング
「かんながらたまちはえませ」に入れる
琵琶アレンジを予め考えてくださって、
レコーディングは淡々と、
しかもさくさくと進んだ。
気づいたら終わっていた、という感じ。

「思ったより早かったですね」と河野さん。

集中の時間は深く、短く…

琵琶の弾き手でなくては
思いつかないようなアイデアも
提供して頂いた。
さっそくミックスしてみると、
空気感の濃密さは大きく変わっていた。
終了後は、薩摩琵琶のほんの入り口を
うちの20歳青年に伝授してくださった。
彼は和太鼓を通算8年くらいやってきて、
これから篠笛を吹くことになっているので、
触れる楽器は「和物」ばかり。
よく考えてみると、
彼の父方(つまり僕)のひいおばあさんは
邦楽の師範だったし、
ひいおじいさんは狩野派の画家だった。
彼自身は直接には
そのどちらにも会ったことはないけど、
まさにザ・日本人としての
文化的隔世遺伝が発現していると思える!
レコーディング終了後、
河野さんから日本人力の一端に触れる
お話を伺えた。
その考えの本質には、
日本人である私たちが何を失い、
今、何を取り戻すべきなのか、という
テーマがあり共感することできた。
そしてその方法論が
たいへんユニークで面白い!
これからなにかとご一緒できるのが、
とても楽しみである。

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